〇魚道(ぎょどう)とは?
河川には堰堤(えんてい)とよばれる、治水を目的とした大きな段差部を形成する人口の治水構造物があります。
「魚道」とは、魚類がこの人口構造物の段差を乗り越えて通過することができるようにするため設けられた「魚の通り道」のことです。
河川に生息する魚類には、サケや鮎のように一生の間に川の上流と下流、そして海を行き来する魚種がいます。かつては、川には堰堤やダムのような構造物がなく、その行き来において支障がなかったものの、人々の生命、財産を守るためにさまざまな治水目的の構造物が作られたため、行き来が阻害されるケースが出てきました。魚種が円滑に行き来ができるように、豊かな自然を回復させ自然との共生を実現するために作られたのが魚道です。
〇堰堤とは?
豪雨などで洪水が発生すると河床を洗堀して大量な土砂を濁流と共に下流へ流出しますが、洗堀が続くと河床が深く掘られ、やがて堤防の洗堀にまでも影響が及ぶこととなります。堤防が洗堀され決壊に至る大惨事へと繋がることを防ぐため、堰堤の役割は濁流による洗堀で河床土が流出しても、堰堤の上流部では堰堤の天端の高さまで流出土を堰き止めて貯留させることにより、河床の低下を防止する効果があります
堰堤の天端の高さより河床が下がらないようにすることで、洗堀される河床の高さの限界高さをコントロールすることができることとなります。この河床の洗堀高さをコントロールできる効果により河川の氾濫を防ぎ、人間の生命財産を守ることができるため河川の大切な治水構造物となります。
〇人と自然との共生のため「魚道」が設置されます。
このように、治水上とても大切な堰堤(えんてい)ですが、その治水のための段差部が魚類の移動に立ちはだかることとなります。この課題を解決するのが「魚道」です。多くの研究者が課題解決のため、様々な形式の魚道を開発してきました。
本サイトは、魚道に関する専門サイトとして魚道の種類やその課題、またそれら課題の解決案のご提案などをお伝えします。
全国各地の河川には治水のために様々な堰堤が設置されてきました。河川の幅や深さなどにより人口構造物の形状は様々です。それら様々な堰堤にその場に適した魚道が検討され設置がされてきています。
魚道については様々な研究がなされその形状、機能によって体系化されています。対象魚種やその生態によっても形状が異なります。
代表的な魚道の種類についてそれぞれ説明をします。
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様々な形式の魚道が開発され設置されていく中で、魚の遡上に効果がある場合は一定の河川環境の改善に繋がりました。
しかし、魚道が設置され河川環境が整備される一方で様々な課題も発生してきました。洪水、河川の流量の変化など、様々な要因により魚道の機能が低下します。課題を整理することが効果的な魚道の検討に繋がります。
様々な魚道の課題について整理をします。
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棚田式魚道とは旧来魚道の様々な課題を解決する魚道として、国土交通省中部地方整備局と山辰組が共同開発した特許魚道です。
・180度の広い間口で正面、側面どこからでも遡上可能
・自然河川の流量の変化に対応
・土砂の堆積を防ぐ、メンテナンスフリー構造
・鮎の活発な遡上行動を促す構造
・洪水、転石などで一部が破損しても遡上効果を維持する構造
・遡上調査、構造に関する研究データなど効果を裏付けするデータが豊富
など、従来の魚道の様々な課題を解決する魚道です。
これらの棚田式魚道の特性の詳細を説明します。
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従来の魚道が抱えてきた幾つかの課題を解決した「棚田式魚道」は長年にわたり全国各地に設置をされてきました。
堰堤や現場の地形条件に応じて棚田式魚道の形状に工夫を付け加えました。
・河川の幅に応じて間口の大きさを対応しました。
・小さな川幅では費用対効果を勘案し全断面魚道としました。
・予算に応じて90°タイプの棚田式魚道も提案しました。
棚田式魚道の基本的な設計思想は、大小さまざまな河川に適合することができるため国、都道府県、市町村の案件にて採用をされています。設置事例を紹介します。
※以下の「棚田式魚道の実績」のボタンをクリックして下さい。
棚田式魚道の設計依頼はいつでも受け付けています。
河川の情報、対象魚種などのヒアリングの後、平面図、横断図をCADデータで頂きます。
図面へ棚田式魚道の作図を行い、数量計算書、概算費用資料の作成を行います。
また、開発者は棚田式魚道に関する論文をまとめ、岐阜大学大学院の農学の博士課程を修了しています。実際に設置された棚田式魚道での遡上実験の調査結果も提供しています。
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